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アーチの始皇帝 上椎葉ダム

2013年5月28日

上椎葉ダムは九州の大水力発電地帯である耳川水系の最上流に位置し最大の規模を誇るダムです。

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日本を代表するアーチダムの一つであり、日本のアーチダムの始祖と言えるダムです。

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上椎葉ダムは、日本で初の大規模アーチダムです。
上椎葉ダムを紹介する時「日本で初の大規模アーチダム」という微妙な表現になってしまうのは、島根県の三成ダムが先に完成していたからです。
建設工事が始まったのは上椎葉ダムの方が先ですし、三成ダムは両端に重力式部分を含む複合要素的なアーチダムなので、もう上椎葉ダムが日本初のアーチダムで良いのではないかと思いますが、そこは議論の分かれるところのようです。
どちらにしろ、日本で初めての大規模アーチダムであることは間違いなく、日本におけるハイダム建設の幕開けとなった記念碑的存在でもあります。

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日本では、まだ大規模ダム建設の実績がなかったアーチ式コンクリートダムという形式を用いたにも関わらず、堤高110メートルという、え、いきなり?という高さです。
大変な難工事であった事は、105名という殉職者の数からもうかがい知れます。
上椎葉ダムが建設されたのは、戦後間もない時期であり、復興への国策として八幡製鉄所をはじめとする北九州工業地帯への電力供給は急務であったのでしょう。

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アーチダムといえば、黒部ダムのようなオーバーハングしたドーム型の形式を思い浮かべますが、上椎葉ダムは、ほぼ垂直に切り立った円筒型のアーチダムです。
当時はまだ3次元構造のドーム型アーチダムを設計する技術はなかったので、コンクリートの厚さもアーチ式にしてはかなり厚く作ってあるそうです。

ダムの外観の大きな特徴として、両端に設置されたスキージャンプ式洪水吐があります。

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撮影時は左岸からザアザアと滝のように吐水していました。

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このスキージャンプ式洪水吐の本来の減勢方法は、両端から放流した水をジャンプ台で跳ねあげ、中央でぶつからせて水勢を相殺するという、ものすごくダイナミックなものです。
是非、一度本気の放流を見てみたいものです。

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ダム湖は「日向椎葉湖」という名前です。
名付け親は小説家・吉川英治です。

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天端の様子です。
上椎葉ダムの素晴らしい所は、歴史的な建築物であるにも関わらず、とても身近に鑑賞する事ができる点です。
下流・天端・全景と閲覧スポットに恵まれています。

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下流側の様子です。
椎葉村は九州の中央部に近い山深い村です。
道路が整備された現在でも、車で訪れるには、どのルートでも遠いなと感じます。
ダム建設当時は40キロ程離れた延岡市から資材を運搬しながら建設を進めたそうです。

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歴史的な逸話とウンチクには事欠かない上椎葉ダムですが、何よりの魅力は「見た目が格好良い」ところだと思います。

“アーチの始皇帝 上椎葉ダム” への2件のフィードバック

  1. 川口美奈子 より:

    上椎葉の放水の写真や風景がとてもきれいに撮れていますね。
    写真を見ながら、故郷の懐かしさを改めて感じています。
    40km離れた延岡から資材を運んだと有りますが、まさに私は
    その延岡(近くですけど)昔資材を運んだという跡地近くの会社で仕事しています。これも何かのご縁ですね。資材を運んだと証明される跡地もわずかですが残っていますよ。上椎葉ダムは通学路でもあり
    幼き頃の遊び場でした。

    • damlab より:

      コメントありがとうございます。
      椎葉村が故郷でいらっしゃるのですね。
      美しい山々と荘厳なダムとの風景は何やら神秘的にすら感じました。
      ダム直下にある椎葉中学校に通われたのでしょうか。
      延岡の資材を運んだと証明される跡地は是非一度見てみたいです。
      貴重な情報ありがとうございました。

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